頭で食べる

山陰の山奥で、柿を栽培する手伝いをするようになって、もう5年以上になる。年間に20~30日は関東を離れて農作業をしている。

手伝いと言っても、結構広い範囲をまかせてくれるので、ちょっとした生産者気取りだ。ただ、普通の生産者と、ちょっと違うのは赤字経営と言うことで、年間で結構な額を出費している。 それでも続けるのは、経済以外の目的がもちろんあるからで。それをわかってもらうには、モノを作る喜び、しかも大地と向き合ったモノ作りの面白さを経験したことが前提になるのかもしれないけど、それはどうでもいい話かな。

生産者の立場を経験してから流通の流れを見ると、いわゆる消費者(自分も含めてだけど)というものと、生産者との間におかしなズレが見えてきた。

生産者と消費者と…

最近ではマスコミ(特にテレビ)が無農薬野菜や有機栽培を取り上げたりしているので。生産の現場でも、それなりに”まっとう”に農作物とつきあっているものとばかり思っていた。

ところが、ところがで、実際は状況悪化の一途の様子。以前とはあまり変わらず、曲った “きゅうり” や “ねぎ” は人気はなく。もちろん、チョロッと傷がついたり泥がついていてもお嫌いらしい。 と、これが生産地での話。

スーパーでは以前より地野菜や、いわゆる “自然” に近いものが多くはなった気がするけども。それでも、貧弱な野菜や、加工済み食品、不自然に安い食品が堂々と並んでいる。 と、これが消費地での話。

このように、2極の図式はパッと想像できると思うんだけど。この構造って、よく考えてみると、自然と互いが憎み合わなければならない方向にしか向かってないのでは?と思うようになった。 今ではどちらも互いに意識は高まっているはずだと考えているんだけど、何でこんなに現実が違うのか…。

そしてだんだんと、生産者と消費者の間にかかっている大きな雲がぼんやりと見えてくるようになった。それが、どのくらいの規模なのかわからない、はっきりと何なのかわからない。 スーパーなのか、八百屋なのか、卸の業者なのか。何かの共同体かも知れないし、農協かもしれない。きっと、国や政治も何かしら深く関ってくる規模であることは、ぼんやり気がついてはいるんだけど。

効率的なビジネスの違和感

気になるのは、農業や産業という、最も人間に近く接しているものが、 “経済” という不思議なモノにスッポリと組込まれてしまっていること。 もちろん、それはビジネスだし、メシを食べるためには働いてお金を貰わなくちゃならない。でも、今のままだと、これからどうなるの?という疑問がたくさん湧い出てくる。 モノを作って売るという行為は、必然的に “良いものをたくさん作って売る” という目的が見えてくる。するとだ、いろんな方法でそれを実現しようとすることになる、 “豊かな生活” というものを得るために。

例えば、畑を広くしたり、人手を増やしたり。例えば、農薬をたくさん撒いたり、長持ちするように化学薬品をいっぱい入れたり。 例えば、住み心地のよい家を作るために、植林したり、昔の木造家屋のようにこしらえたり。例えば、安く売るために、紛物を混ぜたり、建物の材料をケチったり…。

管理化社会ってこれのこと?

「衣・食・住」は、人間の生活の基礎で、特に “食” は人間そのものを形成する最も重要な要素だと思う。しかし、土から口に入るまでの間に “経済” が入ることで、その “食” 自体が別の物に入れ替わっているのかもしれない。 ちょっと恐怖感を煽るような書き方をしたかもしれないけれど、ちょっと引いて眺めれば、そんなに外した見方でもないかな?

それよりも、ニュースでも「私利私欲」のために起きた事件・事故が数多くある中で、自分達が現実にその “渦中” にあることを忘れようとしている気がする。もう「対岸の火事」で済む時代ではないと思うし、その間に流れている河の表面には油の膜も張っているはずだ。 人間そのものの変化の基礎になる “食” の影響は、未来に必ず影響してゆく。これは哲学でも理論でもなくて、おいしくて体に自然であれば元気になるし、マズくて体に合わなければ均衡を崩すという “現実” なんですもの。

結局、何が言いたいのかは自分でもわからない。わかるには、もっとたくさんの場所から眺めなければならない気がする。

それでも、一つはっきりしているのは「自分がその問題自身の中にいる」ということ。

あとがき

と、エラソーに書くけども。こんな真面目チックなことは、酒の席でしか話さないので、非常に今頭がイタイ。しかも長いし… でもね、お堅い話かもしれないけれど、お笑い番組見ながら、ニタニタヘラヘラしながら書いてんですよ。ヘヘ… ご退屈さまでした。

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