月と女性

産神のことを調べていて、その資料のなかに「月水」と云ふ単語が頻繁に登場してくるので調べてみた。きっと月経や女性の月のものであろうと予想はできたが、実際その通りで意味は同じようである。きっと言い方の問題で、この手の単語は時と場所を選んで使い分けなくては失礼にあたる場合もあるので、月経を月水と言うだけでもチョッピリとオシャレになるかもしれない。

辞書で引いてみたのだが、近頃は使い勝手のよいコンピューター上で複数の辞書を串刺し検索することにしている。早いのは当然だが、多彩な語義を一瞬で提供してくれるので、非常に重宝している。今回は月水以外に月経の他の言ひ方も調べてみた。日本語で月経を調べると、「つきのもの、めぐり、つきやく」とあり、英語で調べてみると「menses,catamenia,menstruation」が代表的で他にも言い様は沢山ある。

しかし、何で「メンス」って言うんだろうと思っていたのだが、語源を調べてみるに、「menses」の「men」と云ふ接頭辞と言えばよいのだろうか、頭に付けることによって意味をなすものだが。「men」とはギリシア語では「moon,month」の意味になり、「menses」自体もラテン語では「month」の意味となるようだ。

日本語においては、月経の言葉自体に「月」が含まれているので、月と女性の生理現象とは何らかの繋がりを感じることができるのだが。英語、ひいてはラテン語圏=ヨーロッパにも、月と女性を結びつける何らかの思想があったのだなぁと、なるほど理解できる。

日本の古来からの風習、今では少ないのだが、女性の月経や出産を穢れとして忌むことがある。これには現代の考えからすると反発を喰らうのは間違いないことだろうけども、実際にあった、または今でも現存する習慣で、神事などでは柔らいだ面もあるだろうが、残っているに違いない。これには2つの面からの憶測ができるようで、一つは神聖なもの・神がかりなこととして、生命を誕生させる力を神聖なものと捉えて人智を越えることを純粋に尊んだ。もう一つは単純に、女性の血や血そのものを穢れとして隔離した。

月水のことを調べるきっかけとなった宮田登さんの「神の民俗誌」(岩波新書)によれば、この女性の出産の穢れ=産穢と呼ばれるものは、血を忌む=血忌みの延長上だとしてある。この血忌みについて触れると長くなってしまうので言及は避けるが、このようなことも女性に差別的な意識を作りあげる土壌になるのかな、とも考えられる。

差別問題を考えると面倒なので、これも避けてしまうけども。とにもかくにも、月と周期を共にする女性ってのは何だか神がかりに見えてくる。もちろん男性も、何かしら周期を共にしているものがあるのかもしれないけども。それが異性と異性の違いというか、それぞれ別の時間軸の上にいると思うと、考え方も精神も違って当り前だと再認識しちゃった。


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