海辺からのショット、どこか田舎の農村と教会と。このシチュエーションの映画はたくさんあるけども、結局は神のなんたらや、慎ましきかな人生はと展開していく話はごまんとある。
一月ほど前に録画していたので、潰しにバックグラウンドムービーとして流していたら、中盤に差し掛かったあたりから、妙に引き込まれた
ネタばれ注意!
半ばまで飛ばしていたので、物語はよくわからなかったけども、特に後半の晩餐の場面では思わず唸ってしまった。要は、この晩餐のシーンだけでも見る価値があるんじゃないかな?と思ったわけで。
晩餐会の場面まで、それぞれのストーリーを展開させて終結させる。一点へと集約させるストーリー展開は別段めずらしいものではないけども、この映画ではその描写がテンポよく心地よくて、演技の表情を結び繋いだ組み立て方が実際リアリティーを感じさせる。もちろん演技だって並じゃなく、こんな感情の起伏の少ない演技をこなす役者なんてザラにいるもんじゃない。
この場面は、牧師さんのために「バベットさん」の作るフランス料理で晩餐会を開こうという話になり、バベットさんの仕える二人の姉妹と、その土地のフランス料理未経験者、姉妹とちょっとした関係の将軍さんが招待されるというもの。
1987年、デンマークでこの映画は製作された。監督はガブリエル・アクセルさん、この監督の過去の作品の名前を調べてみたけど、、、興味があったら調べてみるといいかも、ちょっとB級の香りがするけども、この作品に限っては多分生まれ変わってるんだと思う。
webでちょこっと調べてみると、「ホッとする」とか「料理がおいしそう」といった感想が多いけど。自分なりに言わせてもらうとすれば「旨い料理は神をも超える」と言ったところ。ま、実際に食欲と性欲にかなうものはそうそうあるもんじゃあない。
素晴らしく美味なフランス料理を、「おぉ神よ」とか「許したまえ」とか唱えながら、おいしそうに食っているオジちゃんオバちゃんはコメディの原点かと思わせるほど、単純でおかしい。一度だけフランス料理屋さんにコースを食べに行ったことがあるけど、んなもんウマイに決まってる。それをスプラッター恐怖並みに「何を食べさせられるのかわからない」と恐れおののき、おいしそうに食べて、、、、うまそうに食べるんだよなぁ。
ここ最近テレビの深夜映画をよく見るけども、現代の成金映画のような、ヘタに感動させようとしたり笑わせようとしないところは素直に入り込める重大な要素なのかなと、映画自体がシンプルな時代の幸運なのかもしれない。
フランス映画が好きな人は、「デリカッテセン」や「ロストチルドレン」が好きな人は、この映画もイケるんじゃないだろか。そういった意味での描写力の高さは似ているんじゃないだろか。
やっぱり、食べ物と、男と女と、少しのお金(1万フランくらいかな?)があれば楽しく生きていけそうだな。